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(今のところは)トルコ生活

トルコ在住プログラマーです。頭脳はよく,心も傷つくことがありません。

トランプの勝利はアメリカのリベラルの勝利

アメリカ,大統領選,トランプ,共和党

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ご存知の通りアメリカでの大統領選挙でドナルドトランプ氏が勝利しました。

 

いきなり横道に逸れますが、私は現在トルコ在住ですがアメリカ市民ですので当事者です。ちなみにアメリカ市民は州によって細かい違いがありますが郵便での在外投票ができます。一般的には最後に住んでいた州での投票となりますので私の場合はニューヨーク州でした。

アメリカ人の中には自分の票をいわゆるスウィングステートで投票するために選挙登録を親戚が住んでいるフロリダやオハイオ州などにし国内の民主党が勝つ確実な州から郵送で投票するという人もかなりいます。

 

私は今回はヒラリーを応援しておりましたが予想に反して彼女が敗退しFacebookのフィードは友人たちの嘆きで埋め尽くされております。私の社会的サークルにおける民主党対共和党の支持者の率は20:1ぐらいでしょうか。バーニーサンダースもたいそう人気でした。

 

さてこれでこの世の終わりだカナダに移住するなどと言っている友人たちもおりますが私はそれほどトランプ大統領を危惧しておりません。

というのも共和党の候補者の中ではトランプは圧倒的にまともだからです。二大政党のうち比較的リベラルでない方が今回勝ったのですが従来の共和党主流派よりリベラルな候補が勝ちました。アメリカでの社会政策におけるリベラルさの最低ラインがずいぶん前進したと捉えたいと思います。

 

近年共和党は本当に無茶苦茶なことしか言ってなくてとてもではないですが教育を受け酒場でフットボールを見る以外に娯楽がある人たちには支持できない政党になっていたのです。

 

トランプもメキシコ国境に壁を作りメキシコに建設費を出させるとかイスラム教徒の入国禁止、他国に核兵器武装させるなど無茶苦茶言ってましたが彼の政策は比較的まともなのです。

 

1. 進化論

信じがたいことですが共和党のTed Cruz, Marco Rubioなどは進化論否定論者で学校で進化論を教えるべきではないと主張しています。こんなアホな主張は当然アメリカでキリスト教原理主義者しか賛同しません。トランプはそんなアホなことは言ってません。今回の選挙でトランプが当選したことによりこの論争には決着がつきました。

 

2. 銃規制

トランプはNRAを賛美していましたがテロリストのリストに名前がある人には銃を売らないようにする、銃を購入するときには犯罪歴を調べて待機期間をちょっと長くするなどの主張をしていました。

これは信じがたいことですが共和党の他の面々よりよっぽどまともです。彼らはどんな銃規制も反対だったのです。言うなればお菓子を買うようにガンショーで銃を誰でも即日買えてしかもテロリストにもバンバン銃を売ろうという考えです。当然アメリカでは銃保持派でもこんなことには賛成していません。実は銃を持っている人たちも犯罪歴チェックなどの民主党が主張する規制には賛成なのです。ところが今までNRAがすべての銃オーナーの代弁をしているように主張するのに辟易していました。

おそらく共和党の面々は兵器産業からたくさんの献金を受けているからではないかとアメリカ国民は疑ってました。彼らの中央に対する猜疑の目をまさに我々は知るべきです。

ちなみにトランプが所有するゴルフコースでは銃の持ち込みを禁止していたそうです。

 

3. 保険制度

トランプはObamaCareを無効にすると言ってますが既往症のせいで保険が買えないのは良くなかったからそれが違法になったのはいい変化なので残すと言ってます。他の共和党候補はそういうことはさっぱり言ってません。既往症がある人たちはのたれじぬべきという感じです。

アメリカでは2014年にObamaCareが始まりましたがそれまで無保険期間が60日以上ある人たちは既往症により新しい保険を買うときに保険会社が拒否できるという条項がありましてお金があっても保険を変えないという人が多かったのです。ちなみに既往症は保険会社が勝手に設定できるので既往症がある人はアメリカ人の半分にも上がっていました。

アメリカでは低所得者は無料の公的保険があるのですが中所得者以上はObamaCareで保険が買えるようになりました。ただ実際高いのも事実で月に一番安くて300ドル余りします。これは低い方の中所得者にはなかなか家族分買うのは難しいのです。

トランプはObamaCareを無効にすることによって新たに無保険者になってしまう1400万人以上の人たちにはどうするかわからないのですが何か用意しなければいけないと言ってます。彼は実は以前カナダの国民皆保険を賞賛していたこともあるので国民には健康保険が必要であるという考えのようです。この態度は今までの共和党の候補には見られないものです。

 

4. LGBT問題

共和党ではtransgenderであろうが生まれた時の性別のトイレを使うべきという主張が主流なのです。はっきり言ってこんな問題はアメリカ国民の大部分にはどうでもいい話で逆に女に見える性転換した人が男性トイレにいたらびっくりして最悪の場合レイプにつながるかもしれないので自分が認識してる性のトイレを使ってくれという意見です。

トランプはこの問題に関してはトランプホテルでは自分が認識してる性のトイレを使うようにというポリシーにしてます。

 

以上主張していた政策だけでも従来の共和党主流派よりよっぽどリベラルなのですが彼のバックグラウンドを見ても今までの共和党候補よりずっと期待できます。

彼の女性に対する言動が一時期問題視されましたが彼の娘は名門ペンシルバニア大学ワートン経営大学院を出ており当然仕事もしておりトランプはことあるごとに自慢の娘と言っております。彼の現在の妻にしてもスロバキア出身のモデルでありおそらく売れない頃にはビザなしでニューヨークで不法就労をしていたと思われます。ですから家族だけを見ても女は家にいるべきで中絶も違法にする(と主張はしてますが)ということを実行するような大統領になるとは見えないのです。

移民問題にしても奥さんからして英語も上手くない移民ですし国外で生まれた人口が半数を占めるニューヨーク生まれで長年そこでビジネスをしてますし移民がどれだけアメリカに貢献したかを身を以て知っています。

 

今回の選挙で初めて彼を知った方も日本では多いかと思いますがアメリカでは彼は大人気のリアリティーショーであるThe Apprenticeのホストをしていました。この番組は10年ぐらいは続いたはずです。形式は毎シーズン12名ぐらいの様々なバックグラウンドの人たちが集まって2つのチームになって毎週トランプから与えられた課題を乗り越えながら負けたチームは一人その週何があったかをもとにトランプがクビにし、最後に残った人はトランプの会社にサラリー25万ドルで一年間雇われるというものでした。

課題も何かブランドのコンセプトを表現する広告キャンペーンを作るとかたくさんウェディングドレスを売るとか面白いものばかりでした。

集まった人たちは大体若いのですが人種も宗教も様々で女性もいれば教育がある人もたたき上げの人もいたりと興味深かったですがトランプは私が見た中では一度たりとも人種や性別や性的指向に基づいた差別をしたことがなかったです。今回の選挙で彼は反ユダヤであると言われてましたがThe Apprenticeの中ではユダヤ教の祭日であるとの理由で課題に参加しなかったチームメンバーをクビにしなかったり普通に異なるバックグラウンドに配慮していた感じを受けます。

彼は選挙期間中にはメキシコ人やイスラム教徒への憎悪を煽るような発言をしていましたが選挙前は人種差別者であるという感じは受けませんでしたので単に票を集めるためだったのではないでしょうか。

 

したのCBSの記事によるとアメリカ人の7割は不法移民でも合法滞在への道は開かれてるべきであると思っているとのことですしグローバリゼーションが職を作るか奪うかへの意見は拮抗しています。当然トランプは会社経営において世界貿易の恩恵を多分に受けていますのでその効力は知っているでしょう。

http://www.cbsnews.com/news/cbs-news-exit-polls-how-donald-trump-won-the-us-presidency/

 

昔私は2代目ブッシュの再選の時に民主党のテキサス州知事が出たら大統領になるのは簡単だろうと友達と話したことがあるのですがトランプはまさにリベラルなニューヨーク出身の共和党では一番バランス感覚に優れた政治家(ともう呼んでいいですね)ではないかと有権者は期待したのです。

彼の政権運営にはいろいろ難題はありますが長い長い時間のあとようやくまともな共和党候補者が出てきました。でここが大事なことなのですが私のロングアイランドに住む中華系やヒスパニック系の若い友達にもトランプ支持者はいます。彼らはトランプは実質民主党でも共和党でもない第三勢力だからこそ両党を交渉のテーブルにつかせ妥協させることができると言っています。まだ未知数ですが彼がそうできれば本当にいいことです。

彼は勝利宣言で心情や党派にこだわらずに国民一丸となって前進しようと政策には一つも言及することなく国際関係においても常に他国をフェアに取り扱って協調しようと呼びかけたので選挙戦中に主張したことをおそらく何のためらいもなく反故にするでしょう。しかしそれはアメリカ国民も望んでいることであり(共和党の指名を得るには偏った主張をしないといけないため)彼のバランス感覚に期待して今後を見守りたいと思います。