メスト・エジルの代表引退とその理由から垣間見える事情についての雑感
ワールドカップ盛り上がりましたね。巷ではフランスのサッカーはつまらなかった云々と言われてるようですが私は強いフィジカルと高い技術に裏打ちされたサッカーで非常に楽しめました。
その対極で残念だったのがドイツ代表でしたね。グループリーグ敗退で韓国にも負けて最下位でした。
エジルが主にドイツサッカー協会グリンデル会長とドイツメディア
彼の3部分に渡る英語での主張は以下からです。
I/III
The past couple of weeks have given me time to reflect, and time to think over the events of the last few months. Consequently, I want to share my thoughts and feelings about what has happened. pic.twitter.com/WpWrlHxx74
— Mesut Özil (@MesutOzil1088) July 22, 2018
II/III
II / III pic.twitter.com/Jwqv76jkmd
— Mesut Özil (@MesutOzil1088) July 22, 2018
III/III
III / III pic.twitter.com/c8aTzYOhWU
— Mesut Özil (@MesutOzil1088) July 22, 2018
なお私はドイツ語は読めませんのでドイツメディアが彼をどう書い
結論から言うと彼が糾弾された写真に政治的意図はなかったとの主
少なくともエジルはエルドアンに好意を抱いていると考えられます
個人として好意を感じるにはいいのですがやはり彼の公人性を考え
もう一つは彼はドイツ人でありながら精神的にはかなりトルコ人で
このポストでは私はトルコ的価値観と中東的価値観を、ドイツ的価値観と西欧的価値観を同意義で使っております。
彼のトルコ的価値観をよく表すのは彼が主張したpartnerはどうあるべきかというくだりです。
I've always thought that a 'partnership' infers support, both in the good times and also during tougher situations.
(Part II / III)
彼はpartnerは楽しい時も苦しい時もお互いを支え合うべき
おそらくエジルの頭の中ではpartnerはトルコ語でkank
一般的にドイツでのトルコ人は彼ら自身の文化圏を作ってそれを守
もう一つの中東的な価値観の傍証は学校に切られたので悲しいとい
In all honesty this really hurt.
(Part II / III)
日本人的なリアクションであればこれは学校に迷惑をかけたくない
次にエジルがエルドアンに対してどう思っていたかでありますがこ
エジルは度々テロに対して哀悼を表明しておりエルドアンは6月の
(
あともう一つの傍証はエジルが結構なイスラム教徒っぽいことです
そして何よりドイツ国内のトルコ人はエルドアン支持が多いのです
対してアメリカ国内のトルコ人有権者(20万人ぐらいか?)
ですから以上のことを鑑みてエジルがエルドアン支持してる可能性
エジルは6月にエルドアンが国内の景気悪化を見越して早めた選挙
おそらくエルドアンを助ける意図はあったのではないでしょうか。
Although the German media has portrayed something different, the truth is that not meeting with the President would have been disrespecting the roots of my ancestors, who I know would be proud of where I am today. For me, it didn't matter who was the President, it mattered that it was the President.
(Part I / III)
これは西欧的価値観から言ったら破綻している論理です。第一に故郷と政治的機構である政府はあまり関係がありません。第二に職務と党は厳密には独立しています。第三に西欧的価値観ではあまり先祖に重きをおきません。
トルコという民族および国家は現共和国の前に既に存在していました。大統領と会うことがなぜ先祖に敬意を払うことになるのでしょう?実はトルコの人々はすごく愛国的なのです。これは愛国心が暴走して第2次世界大戦に突入したドイツや日本とは大いに異なります。2016年にクーデター未遂があった時にトルコ人は自分たちの国家がこんなことになって涙した人たちが多かったのです。
翻ってアメリカ、日本、ドイツなどでは国家は単なるサービス提供の主体であり政府と国家の非同一性は国民の大多数が知っています。政府に懐疑的であれというのは啓蒙主義の伝統から普遍になっているのです。
エジルの主張を信じるのであれば彼の国家に対する考え方はトルコ的です。しかし私は大統領という職務に敬意を払ったというのは言い訳だと思ってます。
先祖に関してですが西欧的価値観で大事なのは現在の個人であり先祖を敬うのはまあ言ってみれば神を信じるとか星占いを信じる程度の話です。しかしトルコでは(古代ローマのように?)先祖を大事にするのを尊びます。初対面の人と会った時まず聞くのが家族がどこから来たかです。トルコ人は色々混ざっていて多民族国家のオスマン朝の時に動き回っていたので聞いても何があるのかわかりませんがまあ日本での高度成長期の前のようにお国はどこですかと必ず聞くのです。
エジルには悪気はなかったのかもしれませんが国家の代表として戦
エジルが言ったようにドイツ国内でおそらく人種差別も多々あったと思います。しかしそれだけに彼への攻撃を全て彼の主張のように負わせることはできないのではないでしょうか。私はエジル代表引退問題は人種差別とエジル、ドイツメディア双方の価値観への無理解の方が大きいと思います。そして彼は国の代表であるのでやはり根本的にはドイツが広めようとしてる個人の自由と尊重という価値観に反すると取られる行動は取るべきではなかったと思います。